ツバメはなぜ去年の巣を覚えている?

前の巣を使うのは親ツバメ。 その確率は五〇~六〇パーセントと言われています。 ツバメは高いところから見た景色をちゃんと覚えているのです。なにしろ巣をつくるとき に、枯れ草の切れ端や泥の固まりを何十回も運ぶのですから、このとき巣の場所をしっかり覚え込むことができるのでしょう。

 

渡りのときも、この記憶がしっかり役立ちます。ツバメは体の中に、自分だけにわかる体内時計と呼ばれるものを持っていて、太陽や星座を見ては「この時刻に太陽がこの方向に見 えるから、こちらが南」といった判断をしながら飛んできます。

 

やがて果のある町に近づくと、去年の記憶が呼び起こされて、前に使っていた巣にたどり着けるというわけです。


ただし、空が曇っているときは、方向が決められず群れがバラバラになってしまうことがありますし、途中で力尽きてしまうのもいますので、この程度の確率になるのでしょう。


なお、去年生まれた若いツバメは、新しい巣をつくります。家の軒下にツバメが巣をつくったら、来年も帰ってくることを信じて、そのままにしておいてあげてください。