なぜカツオだけ一本釣りで釣るのか?

カツオの一本釣りは、男の戦場。釣られまいとするカツオとの一騎打ちで、機械化された 現代に似合わない熱い血潮を感じさせられる漁法です。

 

カツオは二〇~二二度の水温が好きで、春から夏にかけて黒潮に乗って、南のほうから日本の近くまでやって来ます。そのときを狙って漁が行なわれるのです。


カツオの群れに遭うと、生簀に入れておいた生きたイワシを海にまいてカツオをおびき寄せ、そこに釣糸を垂れて一匹ずつ釣っていきます。これが一本釣りです。

イワシやサバ、アジなどは海面近くに群れをつくってゆっくりと泳ぐので、船に近づいた 群れを網で包むようにして捕まえることができます。しかし、カツオは泳ぐ速度が速く、もたもたしていると、あっという間に逃げられてしまいます。

 

その点、一本釣りなら糸を垂らすだけで済みますから、準備に手間取ることがないのです。 しかし、最近は、目の荒い大きな網でカツオを捕るように工夫がされ始めています。