その昔、バターは塗り薬だった?

生クリームを混ぜていて、うっかり混ぜ過ぎると、油分が出てきてしまうことがあります。 でも、「あーあ、無駄になっちゃった」などと思わなくても大丈夫。実は、ひたすら混ぜていると、油分と水分に分かれ、それがバターと乳清になるのです。バターはこうしてつくら れます。

 

バターの歴史は古く、紀元前二〇〇〇年~1〇〇〇年頃にはインドでバターがつくられた という記録があるほどです。また、その始まりは、遊牧民が生活の中で偶然につくり出した とも言われています。

 

それがヨーロッパに伝わったのは紀元前五世紀頃ですが、ローマ人は、バターを野蛮人の食べ物だとして口にしようとはせず、その代わり、赤ん坊や幼児などの体を柔らかくするからと、塗り薬に使われていました。また、整髪料や、軍用のゾウの傷薬としても愛用されたのです。


スコットランドイングランドでは、羊毛の保護剤としてヒツジに塗ったり、ランプの灯油などにも使われました。なお、日本でも江戸時代頃から将軍などに薬として使われましたが、食用となったのは明治以降のことです。