春先に出回るのになぜ夏ミカンと言うか

夏ミカンと聞くだけで、あの酸っぱさを連想して、ツバをゴクリと飲んでしまう人も多い はず。とはいえ、最近の夏ミカンは品種改良が進んでずいぶん甘くなり、滅多に酸っぱいミカンにお目にかからなくなってしまいました。

 

さて、この夏ミカンが出回り始めるのは二月頃からで、三~五月が出荷の最盛期となります。つまり、春の果物というわけです。俳句の世界でも夏ミカンは春の季語とされています。 それなのになぜ、夏ミカンと呼ばれるのでしょうか。


夏ミカンは、あまりの酸っぱさにそのままでは食べられず、子供の玩具や酢の代用品として使われてきましたが、木につけたまま初夏~夏頃まで待つと、酸味が和らぐことがわかったのです。


夏に食べておいしいミカンということで夏ミカンと呼ばれるようになったわけですが、この名前だけは、品種改良がなされ、出荷が春先に変わっても、そのまま残ったというわけです。

 

ちなみに、夏ミカンは十八世紀初頭、山口県長門市にある青海島の海岸に漂着した果物の種をまいたのが始まりだと言われています。山口県萩の武家屋敷の庭先には今でも夏ミカンの木があちこちに見られます。