本の中にいる虫の独特な子孫繁栄法

ふと懐かしくなって、昔読んだ本を開けてみると、なにやら動くものが。 「おや、なんの虫だろう。まさか、シラミやノミでは?」と一瞬ギョッとさせられますが、 そうではありません。 これは、体長一ミリメートルほどで淡褐色をしているヒラタチャタテという虫です。

 

本の中にいることから、booklice、つまり本のシラミとも呼ばれています。とはいえ、人間に害 のある虫ではありません。 湿った暗いところが好きで、本のほか、机の周り、特に引き出しの中に多く見られます。

 

本のノリやカビを食べながら生きていて、卵は紙の間に生むのですが、その卵は、受精せずに幼虫になる処女生殖なのだそうです。 目につかないようでも、虫はこっそり、ちゃっかりと生きているものです。

カバは真っ赤な汗をかく?

動物園のカバは、昼間でも陸に上がっていることがありますが、野生のカバは昼間は川の中で眠ったり、泳いだりしています。そして、夜になると草を食べに陸に上がってきます。


あまり見る機会はありませんが、カバは大変な汗かきで、陸に上がると、全身汗びっしょりになります。このカバの汗が、血のような赤い色をしていると言ったら信じられますか。


かいたばかりの汗は透明なのですが、見る間に真っ赤に変わっていきます。これは、空気に触れると汗に含まれている色素が赤く変化するためなのです。


なぜカバが大汗をかくかと言えば、陸上でも皮膚を濡れた状態に保っておかないと、皮膚がボロボロにはがれやすくなってしまうため。


陸上ではノソリノソリと重たそうに歩くカバですが、水の中では軽々と泳ぎます。

南極と北極ではどちらが寒いか?

シロクマは、北極にしかいません。ペンギンは南極にしかいません。シロクマの体毛と脂肪の厚さを考えると、北極のほうが寒い気がします。 実際のところはどうなのでしょう。

 

まず地形的に考えてみましょう。南極は大陸が海に囲まれていて、北極は周りを大陸に囲まれています。陸地は暖まりやすく冷えやすい、そして、水は暖まりにくく冷えにくい性質があります。ここから考えると、夏には 気温が上がるけれども、冬の寒さは南極のほうが厳しそうです。


では、実際に気温を調べてみましょう。南極の中心部では最低気温がマ イナス六〇度まで下がりますが、北極ではマイナス三〇~四〇度くらいで す。やはり、南極のほうが寒いのです。

 

気温の差だけではありません。北極では風が弱いため、吹雪にならない限り寒さはしのぎやすいのですが、南極は強い風が吹くことが多いのです。これが激しくな ると、ブリザードと呼ばれる氷片を含んだ激しい風が吹き荒れるのです。

 

というわけで、北極よりも南極のほうが寒いのです。

空が青いのはなぜ?

宇宙から見た地球は、まさに「水の惑星」という名にふさわしい美しい青色をしています。 暗い宇宙にあって、そこだけが生命の息づく場所という気さえしてきます。このように地球 が青く見えるのは、地球を取り巻く大気の粒子が太陽の光に反射するため。そして、空が青 く見えるのも、同じ理由によるものなのです。


太陽の光は白色光で、プリズムで見ると虹の色でおなじみのように、赤、橙、黄、緑、青、 藍、紫の七色に分かれます。 この中で、波長の長い、赤、橙、黄色などの光は大気を通るうちに吸収されてしまうことが多いのですが、波長の短い青や緑色の光は大気中の粒子にぶつかって散乱するため、人間 の目に届くことが多いというわけです。

テープの声が自分の声と違って聞こえるのはなぜ?

テープやビデオで聞く自分の声は、なぜかいつも聞いている自分の声より貧弱な気がしま す。しかし、他人の声はあまり違わないで聞こえます。これは、どうしてでしょう。


われわれは、自分の声を、頭蓋骨を伝わって聴神経によって聴いています。そのため、外に発する声よりも、響きのある声に聞こえます。これは、低音部になるほどより顕著になるのです。つまり、テープで聴く声のほうが、他人が聴いている自分の声ということになります。


同じようなことが、タクアンやせんべいをボリボリかじっているときにも起こります。他人がかじっている音はさほど気にならない大きさなのですが、自分がかじっている音は驚くばかりです。これも、自分のかじっている音は、頭蓋骨を伝わるために大きな音に聞こえてしまうためです。

ウインドサーフィンはなぜ風上に向かって走れるか?

青い海を、色とりどりのウインドサーフィンが走るのが、湘南や江ノ島の風物詩となって います。このウインドサーフィン、見ているとバランスを取ったり、舵を操るのがなかなか難しそう。それに、風がなければうまく進まないのではとも思ってしまいます。


ところが、まったくの無風でない限り進みますし、逆に向かい風でも進むのです。それはなぜでしょう。

 

斜め前方から風を受けると、ウインドサーフィンは横に押されます。このとき、舵をうまく操作すると、横に押される力を斜め前方への推進力に 変えることができるのです。

こうして、風上に対して四五度くらいの角度 でジグザグに進めば、向かい風でも前進できるというわけです。この原理は、ヨットでも同じことです。

その昔、バターは塗り薬だった?

生クリームを混ぜていて、うっかり混ぜ過ぎると、油分が出てきてしまうことがあります。 でも、「あーあ、無駄になっちゃった」などと思わなくても大丈夫。実は、ひたすら混ぜていると、油分と水分に分かれ、それがバターと乳清になるのです。バターはこうしてつくら れます。

 

バターの歴史は古く、紀元前二〇〇〇年~1〇〇〇年頃にはインドでバターがつくられた という記録があるほどです。また、その始まりは、遊牧民が生活の中で偶然につくり出した とも言われています。

 

それがヨーロッパに伝わったのは紀元前五世紀頃ですが、ローマ人は、バターを野蛮人の食べ物だとして口にしようとはせず、その代わり、赤ん坊や幼児などの体を柔らかくするからと、塗り薬に使われていました。また、整髪料や、軍用のゾウの傷薬としても愛用されたのです。


スコットランドイングランドでは、羊毛の保護剤としてヒツジに塗ったり、ランプの灯油などにも使われました。なお、日本でも江戸時代頃から将軍などに薬として使われましたが、食用となったのは明治以降のことです。